「DXを始めようと思っているが、何から手をつければいいか分からない」——経営者の方からよく聞く言葉です。
DXに必要なのは、優れたツールでも大きな予算でもありません。正しい順番です。

DX Factory では、この順番を体系化した「3 Stage モデル」を提唱しています。ツールを選ぶ前に業務を整理し、デジタル化・自動化・AI活用を段階的に進めることで、コストを抑えながら確実に成果を出すことができます。

この記事では、各 Stage の具体的な始め方と、自社の現在地を判定する3つの質問をまとめました。コラム#01「つくらないDX」とは何かの実践編です。

目次

  • 3 Stage モデルを復習する
  • STAGE 00【業務整理】の始め方
  • STAGE 01【デジタル化】の始め方
  • STAGE 02【DX・自動化】の始め方
  • STAGE 03【AI導入・AX】の始め方
  • 自社のStageを判定する3つの質問
  • よくある質問
  • まとめ

3 Stage モデルを復習する

DX Factory の「3 Stage モデル」は、STAGE 00 から STAGE 03 の4段階で構成されています。各 Stage の概要は次のとおりです(詳細はコラム#01「つくらないDX」とは何かをご覧ください)。

  • STAGE 00:業務を整理し、やめることを決める(全Stageの前提)
  • STAGE 01:紙・口頭・記憶でやっている情報をデジタルに置き換える
  • STAGE 02:デジタル化した業務フローを自動化する
  • STAGE 03:AIで経営判断や業務変革を加速する

この順番を守ることが、最大のコスト効率を生みます。STAGE 00 を飛ばして STAGE 01 に進むと「不要な業務までデジタル化してしまう」、いきなり STAGE 03 に飛びつくと「AI を使う土台がなく誰も活用できない」という失敗が起こります。

STAGE 00【業務整理】の始め方

3 Stage モデルの出発点は、ツールの選定でも予算の確保でもありません。「いまの業務を整理し、やめることを決める」ことです。非効率な業務をそのままデジタル化しても、非効率が定着するだけです。

30分でできる業務棚卸しテンプレート

まず、自社のすべての業務を書き出します。以下の5項目を1業務につき1行で記入するだけでかまいません。

業務名 担当者 頻度 所要時間 目的
受注内容の転記 事務担当 毎日 30分 紙の注文書をExcelに入力
月次売上集計 経営者 月1回 3時間 各担当の売上をExcelで手集計
日報の確認・返信 マネージャー 毎日 20分 紙の日報を読んで手書きコメント

この「業務の地図」が、STAGE 01 以降の設計図になります。

「やめる」判断をする3つの基準

書き出した業務に対して、次の3つを問いかけてください。1つでも該当したら「やめる候補」です。

  1. 目的を説明できない業務:「なぜやっているのか」を聞かれて答えられない場合、その業務は存在意義を失っている可能性が高い
  2. 過去半年以上誰も改善していない業務:「ずっとこのやり方だから」という業務は、慣習で続いているだけのことが多い
  3. 特定の人しか知らない+月数回しか発生しない業務:属人化(特定の人にしかできない状態)しているうえ発生頻度も低いなら、廃止かアウトソースの検討余地がある

デジタル化する対象を減らすことが、結果的にDXの成功率を高めます。規模によっては STAGE 00 に1ヶ月以上かけても、その後の工数は大幅に下がります。

STAGE 01【デジタル化】の始め方

STAGE 01 は、紙・口頭・担当者の記憶に依存している情報をデジタルに置き換える段階です。高価なシステムは不要で、スプレッドシートやクラウドフォームで十分なケースがほとんどです。

最初に着手すべき3つの典型

  1. 顧客・案件情報のスプレッドシート化:名刺や手帳に散らばっている顧客情報を1つのスプレッドシートに集約する。Googleスプレッドシートなら無料で複数人が同時に編集できる
  2. 日報・作業記録の電子化:紙の日報をGoogleフォームに切り替えるだけで、集計・検索が可能になる。導入コストはほぼゼロ
  3. ファイルのクラウド共有:各自のパソコンに保存されている提案書・写真・マニュアルをGoogleドライブに移行する。これだけで「あのファイルどこ?」という問い合わせが激減する

STAGE 01 完了の判定基準:「担当者が急に休んでも、別の人がデータを見て対応できるか?」がYESになれば、STAGE 01 は達成です。逆に言えば、この状態になるまでは STAGE 02 に進む必要はありません。詳しい事例は導入事例ページもご参照ください。

STAGE 02【DX・自動化】の始め方

STAGE 02 は、STAGE 01 で集約したデータを基に、繰り返し発生する業務を自動化する段階です。GAS(Googleが提供する無料のプログラム実行環境)や Zapier・Make などのノーコードツール(プログラミング不要で自動化できるサービス)を活用します。

最初に着手すべき3つの典型

  1. 月次集計レポートの自動生成:スプレッドシートの関数やGASを使い、毎月手作業でやっていた集計を自動化する。毎月の集計作業を大幅に短縮できるケースもある
  2. 条件付き通知メールの自動送信:「受注が入ったら担当者にメール」「在庫が一定以下になったら警告」など、条件を設定するだけで自動通知できる
  3. 入力チェック・転記の自動化:フォームへの入力内容を別のシートに自動で転記・集計する。手作業による転記ミスをゼロにできる

STAGE 02 完了の判定基準:「同じ作業を月2回以上、手で繰り返していないか?」がYESなら、まだ自動化の余地があります。NOになれば STAGE 02 は達成です。

STAGE 03【AI導入・AX】の始め方

STAGE 03 は、STAGE 00〜02 が整った会社だけが進む段階です。AI(人工知能)を活用して経営判断や業務変革を加速します。STAGE 01・02 の土台がない状態で AI を導入しても、活用の場が見つからず「試して終わり」になります。

最初に着手すべき3つの典型

  1. 問い合わせメールの分類・返信草案生成:Claude や ChatGPT などの生成AIを使い、毎日届くメールへの返信草案を自動作成する。1通あたりの作業時間を大きく短縮できる
  2. 資料・提案書のドラフト生成:AIに「業種・課題・提案内容」を渡すと、提案書の骨格を自動で生成する。ゼロから書く時間を大幅に削減できる
  3. データ分析の自動化:STAGE 02 で蓄積したデータを AI に渡し、売上トレンドの異常検知や需要予測を行う。人手では見落としがちなパターンを発見できる

STAGE 03 完了の判定基準:「経営者が日々の判断・作業から離れて、未来の仕事(新規事業・採用・戦略)に集中できているか?」がYESになれば、AX(AIトランスフォーメーション)に到達した状態です。生成AIの具体的な活用方法はAIハンズオンセミナーも参考にしてください。

自社のStageを判定する3つの質問

自社が今どの Stage にいるかを判定するため、次の3つの質問に答えてみてください。

質問 YES の場合 NO の場合
Q1. 受注情報を3秒で取り出せるか? STAGE 01 通過 STAGE 00〜01 が優先
Q2. 月次レポート作成に2時間以上かかるか? STAGE 02 未達・自動化余地あり STAGE 02 通過
Q3. 社長がいなくても会社が回るか? STAGE 02〜03 到達 STAGE 00〜02 の仕組み化が先

3つの質問で、自社の現在地と次の一手が見えてきます。より詳しく自社のDX優先度を整理したい方は、無料の現状診断シート(3分・メールアドレス登録)もご活用ください。

よくある質問

Q1. 3 Stage をすべてやる必要がありますか?

会社の規模・業種によって、到達すべき Stage は異なります。たとえば社員3名の会社であれば、STAGE 01 が完了した段階で十分な効果が出ることも多くあります。重要なのは「どこまで進むか」ではなく、「今いる Stage を正しく認識して、飛ばさず順番に進めること」です。

Q2. STAGE 00 と「要件定義」は何が違いますか?

要件定義(システム開発の前に「何を作るか」を決める工程)は、すでに「作る」という前提があります。STAGE 00 はもっと手前で、「そもそも何を残し、何を捨てるか」を決める作業です。ツールやシステムの話は一切せず、業務そのものと向き合います。STAGE 00 が終わって初めて、要件定義の出番が来ます。

Q3. 自社だけで進めるのが難しい場合はどうすればいいですか?

STAGE 00 の業務整理は、社内だけで行うと「これはやめられない」という思い込みが邪魔をすることがあります。DX Factory では、STAGE 00 の業務棚卸しから伴走支援を行っています。「まず何をやめるべきか」の整理から一緒に進めたい方は、無料の現状診断シートに回答いただくか、30分無料相談からお気軽にお声がけください。

まとめ

DXは「順番」が9割です。STAGE 00 で業務を整理してからでなければ、どのツールを入れても成果は出ません。今日からできることは、まず30分の業務棚卸しから始めることです。

  • STAGE 00 で「やめる業務」を決め、業務の地図を作る
  • STAGE 01 でデータをデジタルに置き換え、誰でも見られる状態にする
  • STAGE 02 で繰り返し業務を自動化し、人の手を離す
  • STAGE 03 で AI を活用し、経営判断の質とスピードを上げる

「つくらないDX」の思想についてはコラム#01「つくらないDX」とは何かをあわせてお読みください。自社のDXの現在地をより詳しく知りたい方は、無料:現状診断シート(3分・メールアドレス登録)をご活用ください。

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